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11月27日(日)に東京海洋大学(越中島キャンパス85周年記念会館)
で開催された「第31回キネシオテーピング臨床研究発表会」に
参加してきました。
キネシオテーピング臨床研究発表会は1年に一度開催され、
キネシオテーピングに携わっている臨床家や研究者による
臨床例や研究の発表から最新の情報や技術を学び、
スキルアップを図る場です。
参加者は、医師、薬剤師、理学療法士(PT)、柔道整復師、
鍼灸師、カイロプラクター、スポーツトレーナー、自衛官など
さまざまな職種の人達が全国から集まりました。
今回は、10編の研究発表と3編のワークショップ、それと
加瀬建造会長(国際キネシオテーピング協会会長)による
特別講演が行なわれました。
以下はその表題と発表者、要約をまとめたものです。
①「手技細胞組織移動テストの有効性の検証(経過報告)」
高倉昌宏氏(アメリカ支部 自然医学医師,カイロプラクター,鍼灸師)
⇒新しく考案された検査法により、多種多様なキネシオテーピングの
貼り方から、最適な条件(位置、方向、張力、手法など)を瞬時に見つけ、
貼ることができるかを検証した。
ゲ―リックフットボールのアメリカ全国大会で救急と怪我の治療を
行なった際、骨折、出血、肩脱臼、膝関節水腫などさまざまな怪我を
した19歳から48歳の116人の選手に行ない、有効性が確認された。
②「スクリーニングテストを使った臨床報告2」
仙波裕朗氏(北海道支部 もいわ整骨院)
⇒知識や経験の差に関係なく、キネシオテーピング独自の
検査法であるスクリーニングテストの結果に基づいた
治療を行なえば、症状を改善することができることを
検証した。有効性が確認された2例を紹介。
③「運動時に使用するキネシオテックスの耐久性」
高橋範行氏(関東支部 竹内病院 理学療法士)
⇒同一人物(30代男性)が同じ条件の下(※同日ではない)、
30分間の運動(筋トレ20分+有酸素運動10分)をした後の
テープの剥がれにくさを、3種類あるキネシオテーピング
専用テープ(キネシオテックス)で比較したところ、
予想外の結果になった。
④「女子フットサルチームにおけるテーピングサポート活動報告」
高宮尚之氏(川久保病院リハビリテーション科)
川本隆義氏(KINESIO ASIA株式会社)
栗田優次氏(株式会社ビックベルジャパン)
齋藤宏氏、小澤淳一氏(キネシオテーピング協会)
⇒去年10月からKINESIO ASIA株式会社がスポンサーになっている、
関東女子フットサルリーグ所属バルドラール浦安ラス・ボニータス
の選手に対して、今シーズン試合前に行なったテーピングサポートの
活動報告。実施した検査やテーピング法の種類などを紹介した。
⑤「Anatomy Trains理論に基づくキネシオテープの使用」
佐藤千恵美氏(東北支部山形支所長)
⇒右大腿骨骨折後(※手術済み)、約1年半経過した症例(歩く時に
右足が上がらず、引きずった感じになり歩きづらい)に対し、
全身を走る筋筋膜のつながりであるAnatomy Trainに基づいて
キネシオテーピングによる治療を行ない、改善がみられた。
⑥「超音波画像診断によるキネシオテーピングの観察」
石田勇樹氏(関東支部 ゆうき整骨院院長)
⇒健常成人(男性2名・女性1名 平均年齢29.6才)のふくらはぎと
足の甲にそれぞれ、なにも貼らなかった時と2種類のテープを
貼った時の皮下内部を超音波画像診断装置で撮影し、比較した。
テープが皮下組織に影響を及ぼしているだけでなく、種類によって
その変化の現れ方や反応に異なった結果が得られた。
⑦「グループホーム入所者に対するキネシオテーピングがもたらす効果について」
青野菜名氏(北海道支部)
⇒グループホーム入所者で、自立歩行ができず膝の痛みがある方や
両足の外反拇趾による痛みがある方に対してキネシオテーピングを
行なった結果、痛みの改善だけでなく、トイレ介助の際に自立が
可能になりスタッフの負担が大幅に軽減した。
⑧「パーキンソン病に対する姿勢バランスと意識」
小澤慶次氏(関東支部 ストレッチトレーナー)
⇒パーキンソン病で頭が前に下がってしまい、右前傾姿勢になり、
右足に痛みが出ている女性に対してキネシオテーピングを
行なった結果、症状の改善と姿勢バランスの向上がみられた。
⑨「脳挫傷・急性硬膜下血腫の為、指の緊張」
斎藤淳子氏(東海支部 斎藤カイロプラクティック)
⇒8年前の落下事故による脳挫傷のため、意識がなく、人工呼吸器を
装着している男性に対して手術後のリハビリとしてキネシオテーピングを
行なった結果、通常だと指が曲がってこぶしを握ったままになって
しまうが、緊張がゆるみ指を伸ばせるようになった。
⑩「東海支部活動報告」
栁原敏之氏(東海支部支部長 航空自衛隊浜松基地)
⇒東海支部の新体制についての報告と、10月に開催された
名古屋アドベンチャーマラソン大会でのテーピング支援活動の報告。
競技前だけでなく、競技後のボディケアも行ない、たくさんの
大会参加者に利用していただき、キネシオテーピングがボディケアの
1つのツールとして認識されていることを実感することができた。
特別講演「手術後の腫れ・痛みを早くとるE・D・Fテーピング」
加瀬建造会長(一般社団法人キネシオテーピング協会,国際キネシオテーピング協会)
⇒従来の筋肉と筋膜に対するテーピングと異なり、表皮や真皮などの
皮膚組織に働きかけるE・D・Fテーピングが痛みや腫れに効果があり、
海外では医療の分野、とくに手術後の腫れや痛みに対して目覚ましい
実績を出し始めている。このE・D・Fテーピングの考え方、貼り方、
使用例、そしてE・D・Fテーピング用に開発されたテープについて
説明とデモンストレーションが行なわれた。
今回参加してみて、キネシオテーピング法はまだまだ進化を続けている
ことを痛感しました。
そして、色々な職種の先生方たちと交流でき、さまざまな発表に刺激を受け、
とても充実した時間を過ごせました。
今回の臨床研究発表会では、すぐに治療に活かせる情報だけでなく、
怪我や病気、高齢者のリハビリという、普段行っている治療とは
異なった分野へも進出できる可能性を感じることができました。
機会があれば自分も積極的に参加したいと思います。
↑加瀬会長との記念撮影