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筋肉が硬くなったことで起こるさまざまな症状の治療や予防のために
できることとして、ほとんどの人がまず最初に思いつくのは
『ストレッチ』だと思います。
確かにストレッチによって症状が改善したという人はいますが、
しばらくやらなかったために症状が再発してしまったという人や
ストレッチをしたら悪化したという人もたくさんいます。
では、本当にストレッチをした方がいいのでしょうか?
当院では、次の3つの理由からストレッチをしない方がいいと
考えています。
①筋肉ではなく、筋膜が硬くなる。
筋肉はなぜ硬くなるのでしょうか?
硬くなっている筋肉は、引き伸ばされてピーンと張っている場合と
ギュッと縮こまっている場合があります。
例えば、上の写真の女性のように、長時間首を右に倒したままの姿勢でいると、
頭~肩に付く上部僧帽筋(そうぼうきん)の左側(上の図の赤い方)は
引き伸ばされ続け、右側(黄色い方)は収縮し続けることになります。
筋肉はゴムのように弾力性がありますが、それを包んでいる筋膜は
変形して新たな形を保つ習性があります。
そのため、頭を支えるために筋肉を収縮させ続けるよりも筋膜を変形
させて支えさせた方がエネルギーの節約になるので、この状態を維持する
ために筋膜が変形し硬くなります。
変形して硬くなった筋膜は急激に引っぱられると損傷します。
そして、筋肉は痛みを感じませんが筋膜は痛みを感じるため、
ストレッチによって筋膜を傷つけてしまうと、悪化することもあるのです。
いったん変形してしまった筋膜は、急に元に戻ることはありません。
しかし、伸張してしまった筋膜は縮めて、短縮してしまった筋膜は伸ばして
元の状態に戻し、そのまま長時間維持しておけば正常な状態に戻ります。
ストレッチでは、伸ばされてしまっているものを縮めることはできません。
縮んでしまっているものを伸ばすことはできますが、その状態を長時間
維持することができないので、毎日欠かさずやり続けなければならず、
しかも一生続けなければなりません。
②筋肉には防御反応がある。
筋肉内には長さや緊張を感知するセンサーがあり、限界を超えるほど
引っぱられた場合、筋肉がそれ以上引き伸ばされたり、損傷を受けないように
センサーから危険信号を受けた脊髄神経(せきずいしんけい)が、筋肉に対して
収縮させるように指令を出します。
そのため短縮してしまった筋肉をストレッチすると、防御反応が通常に比べて
過剰に反応するので、ちょっと伸ばしただけでもさらに緊張させてしまったり、
けいれんを起こしたりします。
③筋肉は伸ばされると脱力する。
短縮している筋肉と比べて伸張している筋肉の方が張りや痛みを感じやすく、
上の図では左側の上部僧帽筋(赤い方)の方が凝りや張りを感じやすいので、
ほとんどの人は伸ばされている左側の僧帽筋をストレッチします。
しかし、伸ばされて硬くなっている筋肉をストレッチしてさらに伸ばしてしまうと、
それを包んでいる筋膜がさらに引き伸ばされたまま縮まなくなってしまいます。
筋肉が縮むと力は入るので、伸ばされて縮まなくなってしまった筋肉は脱力を起こし、
身体を動かしたり、支えたりすることができなくなり、周囲の筋肉に余計な負担を
掛けてしまったり、骨のズレを生じさせてしまいます。
(※実際に正常な筋肉で確認してみても、ストレッチの前に比べて後の方が
明らかな筋力の低下が見られます。)
解剖学的にみても、筋肉には元々「伸ばす」という機能はなく、
「縮める」という機能しかありません。
ですからやみくもにストレッチするのではなく、まずは筋肉を正しく縮められるように
することが重要です。
問題のある筋肉は、そのままでは正しく縮められません。
これに対してキネシオテーピングをすることで、その筋肉は正しく縮められるように
なります。
筋肉は正しく収縮すれば自然に柔らかくなり、緩みます。
逆に必要以上に伸ばすと、どんどん硬くなります。
それでもあなたはストレッチを続けますか?
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